キツネとニワトリ

 キツネが管理するニワトリ小屋がありました。この小屋ではたくさんのニワトリが暮らして居まし
たが、何時の頃からか、夜な夜なニワトリが失踪する事件が相次ぐようになりました。ニワトリた
ちの間では、「キツネがニワトリを食べているのではないか」と言う噂が次第に広がり始めました。
ある日とうとう1羽の若いニワトリが、ニワトリ組合の組長に言いました。「一体どうなっているの
か教えてください。みんなキツネが食べたに違いないと言っていますよ。真相をご存知なら教え
てください。」すると組長は答えました。「まあ落ち着いて。キツネはニワトリを食べてなどいませ
ん。なぜならキツネは我々にそう約束したからです。」すると若者は納得できないと言う顔で、
「キツネが約束を守っているって、どうやったら分るのですか。もっとキツネを徹底的に追求すべ
きではないのですか。」と問いかけました。すると組長もやや声を大きくしながら、「キツネと我々
との約束は、お互いの深い信頼関係に基づくものです。あなたは何か証拠があって疑っている
のですか。根拠も無いのに疑うことは、キツネの名誉を傷つけるばかりか、我々が長い間築き上
げて来た信頼関係も壊すことになるのですよ。」これを聞いているうちに若者は、だんだん感情
的になり、組長が言い終わるか終わらないかのうちに、「でも、じゃあニワトリたちはどこに行った
んですか。」と叫びました。すると組長、「ニワトリたちは自分から進んでこの小屋を出て行った
のです。小屋の外で彼らを迎えたキツネがそう言っていました。もしあなたも旅立ちたいと言うの
であれば、私からキツネに話をしてあげましょう。」若者はこの言葉を聞いて、何だか分らないけ
れども背筋に冷たいものが走るのを感じました。そしてそれ以上、何も言わず、組長の前を立ち
去りました。その後もこのニワトリ小屋からは、時々ニワトリが失踪すると言う事件が後を断ちま
せんでした。しかし組長と組合の幹部の中から失踪者が出ることは遂に一度もありませんでした。

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